黙っていればわからない その1

住宅ローンは企業向け融資より貸し倒れリスクが低く、また返済が長期に渡るため、安定的な収益源となり銀行にとっては力をいれたい商品です。

そのためか、昨今は各行様々な金利優遇を打ち出し顧客の獲得競争が激しくなっています。

融資に当たっては、融資申込人の個人情報(勤務先、勤続年数、年収、他の債務の状況等)とともに、購入不動産の担保評価や違反建築の有無なども調査します。

40代半ばのAさんは、ご主人とお子様一人の三人家族。

結婚後も正社員として働き続け住宅ローン審査には何の不安もない方です。

賃貸暮らしに終止符を打とう、そのきっかけはご主人さんのお父さんとの同居話しでした。

賃貸での同居には無理があるため、一戸建てを探したいとのことです。

陽当たりもそうですが、なによりお父さんが足に障害があるためバリアフリーの家が絶対条件です。

探し始めた当時は、土地を購入して注文住宅を・・・とおっしゃっていましたが、ローン返済のことなども考えて、中古住宅の購入に方向転換しました。

とはいえ、地域や間取り、そしてなによりもバリアフリーの家というAさんの希望条件に合ったものはそんなに滅多にあるものではありません。

最初のうちこそ、あせらずじっくりと・・・言っていましたが、半年が過ぎた頃、親御さんとの同居の時期のこともあり、地域を広げるか、バリアフリーを外すか、そんな話しが出始めたときのことです。

地域、間取りともに希望条件とぴったりのリフォーム済み住宅が売りに出ました。

しかも、そのお家はなんとバリアフリー住宅。
元々は昭和の時代に建築された古い住宅ですが、売主の不動産会社が全面リフォームを行い、水回りから内装まで徹底的に綺麗にしてあります。

リフォームはそれで終わりではありません。

まるでAさんがこんなお家を探していたことを知っていたかのように、階段から廊下そしてトイレや浴室にも手すりが付けてあります。

さらに床はフラットで部屋と部屋とに段差がありません
これなら車椅子の方でも大丈夫でしょう。

惜しむべくは若干日当りが良くないことと予算がオーバーしていたことですが、少なくてもこれほどAさんの希望に近い家はそう何軒もあるものでありません。

さすがキャリアウーマンのAさん。ここは即断即決。

ご主人さんは家のことは全面奥様にまかせてあるそうで、「妻が欲しいというなら何も異存はない」とじつに淡々としておられます。

「米本さん、これから手続きはどうすればいいの? 契約はいつ でもOKよ!
大丈夫、仕事のスケジュールなんてどうにでもするわ。家のことが先よ!」

次回に続きます。

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